遊劇舞台二月病

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いい本は、持っていたい。何度も読み返したくなるし、本棚にあっても何となく様になる。


昔からの名作と呼ばれている本や最近話題の本、ちょっとした掘り出し物のおもしろい本。本棚を見ればその人の趣向もわかるというものだ。センスが良ければプラスのイメージを本棚を見た人に与えることができる。

しかし、明らかにマイナスな印象を与える本があることもまた事実だ。アダルトな本がびっしりと詰まった本棚に魅力もへったくれもない。ゲームの攻略本だけの本棚も何か違うなと思わせる。


そしてさらに世の中には、プラスでもマイナスでもないゼロの本が存在する。


京都に帰省した私は、散歩に出かけることにした。以前から気になっていたが、なかなか行くに行けなかった、恵文社一乗寺店に向かうことにした。


京都のオシャレスポットを紹介する雑誌の表紙を飾った本屋である。小西真奈美が入口に立ち写っていた。本以外にも雑貨も取り扱い、通販も行なっているらしい。


実家からえっちらおっちら歩き、20分ほどで到着した。

店内は見かけよりも広く、絵本や写真集や古本まで取り揃えてある。しばらく店内を物色しているとある本を見つけた。


「かっこいいスキヤキ(泉昌之)」(扶桑社文庫)というタイトルの文庫本は漫画であった。

作品の内容は基本的にはギャグ漫画である。しかもリアリズムギャグ漫画だ。


主人公のトレンチコートの渋い男が食に対して考察する話だ。最初に掲載されているのが夜行列車でいかに駅弁を美味しく食べるかという話である。この作品は世にも奇妙な物語でドラマ化された。

駅弁に入っているおかずとご飯の分量を計算してバランス良く片付けていく、しかし完食目前でカツが肉ではなく玉ねぎを揚げたものであることが発覚し、戦意を喪失してしまう。さらには旅になんてでなければよかった、などと男は口走り物語は終わる。

こんな話もある。トレンチコート男は深夜屋台のにんにくラーメンを食べて帰路につく。しかしにんにくに触発されたのか便意に襲われる。便意の波と数々の障害と戦いながら家路を急ぐトレンチ男。しかし今日一番のビッグウェーブに襲われ、仕方なく、路地裏に隠れてズボンを下ろすと、野良犬に襲われる。深夜子供が窓を見ながら母親に言う「ロボットが歩いていったよ」


先ほど、ゼロの本があると言った。名作もエロ本も我々が生まれる前から評価され、そのプラス度合い、マイナス度合いは動かし様がない。

しかしこの「かっこいいスキヤキ」はどうだろうか。「どちらに入れてもおかしくない」という評価を私は下した。

一風変わったものだということはもちろんだ。しかし内容があるのかないのかよくわからない。だから薄っぺらいのか重厚なのか判断できない。


私の中のプラスとマイナスの狭間に「かっこいいスキヤキ」は位置していた。


結局、私は何も買わずに店を出た。作品としてのプラスとマイナスの狭間という立ち位置も去ることながら、立ち読みでなんだか満足してしまった自分もいた。もしかしたら突然欲しくなるかもしれないが、それはだいぶ先のことだと思う。

あらゆる意味で「ゼロ」、未だかつて遭遇したことのない「ゼロ」であった。



いい本は持っていたい。しかしいい本はタイミングにより異なる。プラスに傾けば、マイナスにも傾く自分の趣向の核心はこの「ゼロ」なのだろうと考えながら、帰りにラーメンを食べた。
図らずもにんにく入であった。
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2012.03.20 00:02 | 橋本達矢 | トラックバック(-) | コメント(0) |
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